「ただいま」
その言葉に返事はなかった。しかし疑問に思うことはない、相手が自分のベッドに身を沈めているのが見えたからだ。
愛しい彼の名を呼ぼうと、口を開きかけてつぐんだ。それを声に出す資格なんて無い。
ベッドの脇にしゃがんで、彼を覗きこむと、影を映す長い睫毛に見とれてしまった。
彼はいつもこうなのだ。壊れてしまうほどに強く、美しい。
突然、不安になって、彼の手を取った。手首に残る、痛々しい筋になった傷の上から、指を当てる。規則正しい振動を感じた。
「なぁ、」
どんなに辛くても、俺のために生きろと。自分はそう言ったのだ。罪なんて、意思は無かったんだからと、お前は割り切ることが出来ないんだろう?それでも、生きてくれているんだろう?
「……好き」
愛されてる、なんて。思ってしまう。辛いんだろう?苦しいんだろう?愛している、だから――楽になんてさせてやれない。
指先にそっと、吸い付くようにキスを1つ。祈るように、すがるように。それはとても、甘かったように思う。
――その代わり、お前が生きていたい、死にたくないと心から言えるまで。隣に居させろ。
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ぴかりんにメールで送りつけたんですけど
「レンが実は起きてて 好き とか聞いてればいいよね★」って おれの判断は間違ってなかった
てなわけで続きを書いてくれたよ→
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